札幌育児園

「理念及び基本方針」に基づく事業実施状況

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① 自立支援
 今日の児童養護施設には多数の被虐待児が入所しており、これらの児童は虐待により自我や基本的な信頼関係が壊されたことから、感情体験の歪みや、対人関係の歪み、自己概念の歪みなどを生じて、爆発的な攻撃・破壊行動や、怒りが感情の基本となった激しい気分変化、試し行動・挑発的言動、無差別の愛着行動、身体的接触の拒絶など、様々な問題を表出している。

 そのため、子どもへの援助は個別化を基本に、何より大人との信頼関係を構築することを優先し、愛着関係を再形成して対人関係の基礎と発達の基盤の確立を図るとともに発達の歪みについては、大人からの意図的で適切な関わりと、環境からの作用を活用して、現実認識の歪みの矯正、自己への客観視など、自我の修復・強化、自己概念の矯正に向けた治療的な援助を行った。また、日常生活、行事をとおし、自活の概念による自己生活の管理を中心とした生活知識や技術の習得だけでなく、年齢に応じて自立した生活をするための社会生活力を身につけることに向け、子ども自身が問題・課題について解決方法や処理方法を習得できるよう援助を行った。

 子どもの自立には、子どもが安心して生活できる家庭環境が欠かせないため、子育てをめぐる問題の解決や家庭機能の回復に向け、親・保護者との協働を基本に、親・保護者が本来の役割を果たすよう親子関係・家族関係の調整や、養育相談などの援助を展開し、家族の再建に向けて支援を行った。

 令和5年10月より男子2棟、12月より女子2棟が小規模グループケアへ移行し、より家庭的な環境の中で個別化を意識した支援を行った。

② 地域支援
 今日の子育ての家庭状況は、核家族化を背景に生活事故への対応力、問題解決力、養育力の低下などの家庭機能の脆弱化が顕著になっており、現行の社会的養護・子育ての支援の体制ではニーズに対応できなくなっている。このような状況を踏まえ、地域の子育て家庭に対し、①養育知識、・技術の習得、②子育て負担の軽減、③親の育ちと社会関係形成を柱とした子育ての支援を行った。サービスの提供にあたっては、附設する児童家庭支援センターと連携し、居住型施設の特性を生かして、24時間体制で託児・通所・訪問など、ニーズに応じたサービス提供と子育て家庭が抱える問題・課題に児童養護施設の専門性から相談・援助し、ケアと相談援助が一体となったサービスの提供を行った。地域の子育て支援では、施設独自の子育て支援事業(タームケア)のサービス提供を行った。

 子どもの福祉のみならず、地域福祉の重要な社会資源として高齢者サロンを開催していたが、コロナ禍以降開催の目途が立たないため、新たな取り組みとして高齢者の買い物支援を計画しており、令和6年6月より実施する予定で準備を進めている。

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